残業しないで帰りなさい!

次の日は土曜日なのに翔太くんは一日お仕事だった。

朝、私が作ったオムライスを食べると、翔太くんは土曜出勤にもかかわらずご機嫌で出かけて行った。

いってきますのキスも、出かける間際に直してあげたネクタイの手触りも、なんかなんか、早くも新婚気分でドキドキです。

そして……。
夕方、帰って来てから翔太くんが私を連れて行ってくれたのは、一度も入ったことのない高級感あふれるお店だった。
床はピカピカに磨き上げられていて、全てがキラキラに輝いている。
このお店って……。

「実はね、指輪を予約してたんだ」

「……えっ?」

驚いて見上げると、翔太くんちょっと照れくさそうな顔をした。

「本当は今日一人で取りに来て、明日渡そうって思ってたんだ。まあ、目の前で箱をパカッて開けんのも悪くないけど、一緒に取りに来ちゃった方がその場でサイズも測れるし、早く渡せるし、いいかなって思ってさ」

そうだったの?
もしかして翔太くん、もともとプロポーズしてくれるつもりだったの?
そんなの……すごく嬉しい。

嬉しくて耳が熱くなって、繋いだ手をキュッと握ったら、翔太くんもギュッと握り返して微笑んだ。

そっか、そうだったんだ。
でも、私が昨日急に来たせいで、段取りがおかしくなっちゃったのかな?

「予定狂わせちゃって、ごめんね」

「ぜーんぜん!早く会いたかったし、早く言いたかったから。ちょうどよかったよ」

翔太くんはそう言って爽やかに笑った。

店員さんが白い手袋をして黒いトレーに出してくれた指輪は波のような形をしていて、たくさんのキラキラが散りばめられた指輪。

高そう……。

こんな指輪、私が付けてもいいんでしょうか?
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