残業しないで帰りなさい!

ムッとして強い口調で言った。

「そう言われるのはもっと嫌です」

「エエッ!?そうなの?わっかんないなあ。……それとも、心は男の子だとか?」

「ち、違いますっ」

「ふーん、そう。俺からしたら、やっぱり君は可愛い女の子だよ」

……可愛い女の子だなんて。

きっと、可愛い女の子って言えばみんな喜ぶから、そんなこと言うんだ。こんな王子様みたいな人に可愛いなんて言われたら、みんなイチコロだもんね?

この人はそういうつもりで私を食事に誘ったんだろうか?

私をそういう目で見ている……?

そう思ったら、怖くて顔を見られなくなった。

やっぱり食事なんて来るべきじゃなかった。男の人と二人で食事なんて、来るべきじゃなかったんだ。

「……」

「そう言われんの、イヤなの?」

「イヤです」

「なんで?」

「私、別に可愛くないですから」

「そんなことないよ、君は可愛いよ」

「可愛くないです」

「可愛いよ」

「……」

これじゃ、押し問答だ。私、全然可愛くなんてないのに。
どうして私のことなんか、可愛いなんて言うんだろう。
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