残業しないで帰りなさい!
ファミレスを出てすぐ、「今日はありがとうございました」と頭を下げた。
見上げると藤崎課長は何かを言おうとしたみたいだったけれど、結局何も言わず、口を閉じて「うん」とうなずいた。
その雰囲気が気まずくて、私は「失礼します」とだけ言って、その場から小走りに離れた。
そのまま電車に乗ったら、窓に映る自分の姿に嫌悪感を覚えて目をそらした。
窓を見ないように、わざとらしく広告を見上げる自分がバカみたい。
そっか……、今感じているのは罪悪感かもしれない。
男の人が怖くて、女として見られるのが怖いっていうのもあるけれど、なにより女として扱われる自分に罪悪感を感じてしまう。
だからこんなに嫌な気分なんだ。
今日は何だったんだろう。
すごく楽しくて、すごく嫌だった。
なんか、もやもやする。
なんなんだろう。
……課長が可愛い女の子なんておかしなことを言ったりするから!
だから、きっと胸が痛くてもやもやするんだ。