残業しないで帰りなさい!

翌朝、出勤しようと玄関の扉を開けたら、目の前に澄み切った秋空が広がっていた。

もやもやした私の気持ちとは、まるで正反対の爽やかさ。

この青空は、心がカッサカサにささくれた私に気分転換の機会を与えてくれてるのかもしれない。うん、きっとそう!

そう思って大きく息を吸って深呼吸をしたら、冷たい空気が心地よくて、本当に心が洗われて水分補給できたような気がした。

うんうん!大丈夫!今日も元気に行こう!

出勤すると、峰岸さんが笑顔で遠くから声をかけてきた。

「青山さーん、昨日はサンプルありがとねー」

「……いえ」

峰岸さんは全く悪気のない笑顔で手をあげると、車の鍵を手に外へ出かけていった。

うーん、サンプル作るのは全然大変じゃなかったんだけど。藤崎課長と一緒にいたことで、なんだかいろいろと大変だったんだよなあ。

昨日のことを思い出したら、また落ち込んだ。

女の子だとか可愛いとか、そういうセクハラ発言はどうかと思うけど、別に藤崎課長が嫌いってわけじゃない。基本的にいい人だと思うし、話してみたら楽しかったし。
それに、私も上司に対して不機嫌な態度をとったりして、大人げなかった。

はあっ……。
顔、合わせたくないなあ。

しばらくは極力残業しないようにしよう。少なくとも、見回りには絶対に遭遇しないようにしなくては……。
< 73 / 337 >

この作品をシェア

pagetop