残業しないで帰りなさい!

席に着くと明らかにご機嫌な様子の白石さんが話しかけてきた。

「青山さん、昨日はあの後大丈夫だった?遅くなっちゃったんじゃない?」

「いえいえ、大丈夫ですよ。それよりデートはどうだったんですか?」

「うん!もう超楽しかったよー。でねっ、また会うことになったんだっ!」

にっこにこな白石さん。すごく楽しかったんだろうなあ。

「良かったですね」

白石さんの笑顔につられて、私もにっこり笑った。

「あっ!青山さん、悪いんだけどさ」

ほんわりしていた私と白石さんの間に、突然高野係長が慌てた様子で割り込んできた。

「この資料コピーして3階の会議室に持って来てくれない?」

「え?あ、はい。何部ですか?」

「20部。ホッチキス止めしてね」

「クリップじゃなくていいんですか?」

「うん。じゃあ、よろしくね」

そう言い残すと、高野係長はバタバタと走って部屋を出て行った。急いでるってことかな?

「管理職会には遅刻できないもんねー」

白石さんはニヤニヤとした。

「それはそうですね」

なるほど。でも、あんなに焦るくらいなら早めに行動すればいいのに。
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