残業しないで帰りなさい!
お父さんの再婚相手、優香さんが私にかけた呪いの言葉。
優香さんに悪気はなかったのかもしれないけれど、子どもの頃、事件に巻き込まれた私に、優香さんは私が女だと意識することに罪悪感を持つ呪いをかけた。
『本当は香奈ちゃんが誘ったんじゃないの?子どものくせに女を意識しちゃってさ』
私、誘ってなんかいないし、女を意識なんてしていなかった。
全然そんなつもりなかった。
まだ十歳だったし。
でも……、自分ではわからなかったけど、優香さんの言う通り、無意識では女を意識していたのかな……?
本当は、私が悪かったのかな?
だから、怖い思いをしたのかな?
私が女を意識するような悪い子だったから……、だからあんな怖い思いをしたんだ。
私がいけなかったんだ。
そんな自責の念から、私は自分が女を意識することに罪悪感を持つようになった。
でも、大人になってよくよく考えてみたら、やっぱり事件に巻き込まれたのは不可抗力で、私は悪くなかったって思う。でも、そう思っても私の中の罪悪感は消えなかった。
ずっとずっと、私は自分の中の女を遠ざけていたし、男の人にも興味を持たなかった。
それなのに。
私は突然男の人に興味を持ってしまった。
課長は一緒にいるとなんだかとっても楽しい人。好奇心をくすぐる人。
課長のことをもっと知りたい。課長ともっと一緒にいたい。もっと話が聞きたい。
それを恋と言うのなら、私は今まで遠ざけてきた女になって、恋をしてしまったんだと思う。
……でも正直、そんなに自分の女の部分を意識しているわけでもないんだよなあ。