残業しないで帰りなさい!
「努力、してみるよ……。課長の前では女の子でいられるように」
私が小さい声でそう言うと、瑞穂は目を大きく開いた。
「おーっ!その気になった?いいねー!まあ、香奈は王子の前では普通にしてるだけで女の子だから、そのままで大丈夫だからね」
「うん……」
「それに、王子は間違いなく香奈のことを想ってるから!」
「……そうなのかなあ?」
そこはいまいち現実味がないと言うか、ピンとこない。
「とにかく、ちょこちょこ会って、いろいろと話してみたら?知りたいんでしょ?その王子のこと」
そういえば課長と話したい時って、どうすればいいんだろう。
「会って話すって言っても、どうしたらいいのかわからないよ。そんな機会ないし……」
「王子のお気に入りの場所に行けばいいんじゃないの?彼、きっとそのつもりで香奈に自分のお気に入りの場所を教えたんだと思うよ」
「ええっ?」
そうだったのかな?
確かにあの非常階段に行けば、課長がサボっているかもしれない。でも、自分から出向くなんて、勇気いるなあ。