嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 レンガ造りの倉庫街の夜景は本当に綺麗。水面に移るライトが幻想的。

 観光スポットだから、少し遅い時間だけど観光客がちらほらと見える。

 橋の上に二人並んで、ライトアップされた倉庫街を眺めた。少し冷たい風が心地いいな。

 ふと隼人さんを見上げた。夜景の中で見る隼人さんはやっぱりカッコイイ。この素敵な人が私の夫だなんて。

 目が合って二人で微笑んだ。

「疲れた?」

「いえ。ただ、あんなにたくさんの人に会うのは久しぶりで、ちょっとドキドキしました」

「そう」

 隼人さんは微笑んで私を見つめたまま、腰に手を回してきた。なんだろう?と見上げていたら、フワッと唇が軽く重なって、そして離れていった。

 ちょっと茫然。

 え?

 ここ外なのに!ちらほら人もいるのに!

 真っ赤になってあわあわしていたら、隼人さんはフッと笑った。

「いいじゃん、ここ日本じゃないんだし。キスくらいよく見かけるし」

 そうは言っても、私は日本人なわけで。どうしても照れてしまう。

「隼人さん、酔ってます?」

「酔ってないよ。……いや、強いて言えば雪菜に酔ってる」

「!」

 そんなこと言うなんて!隼人さん、酔ってるよね?

 言いたいことがわかったのか、隼人さんは少し目を細めた。

「酒には酔ってないよ。強いの知ってるだろ?」

「……それは、そうですが」

 それにしたっておかしな発言ですよ?私に酔ってるなんて……、すごく照れてしまう。
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