嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

「正直言うとさ、今日俺、あんまり面白くなかった」

「え?……そうなんですか?」

 少し不機嫌な隼人さん。

 何か嫌な話題でもあったのかな。ずっと一緒にいたけれど、お仕事の話はほとんど出てなかったと思う。不機嫌になるような内容の話はなかったと思うけど。

 隼人さんは顔をそむけた。

「今日来てた男はみんな雪菜のことかわいいと思ったよ、絶対」

「ええっ!?」

 何を言い出すのかと思ったら、またおかしなことを……。そんなわけないのに。

「誰もそんなこと思ってませんよ」

「いいや、目を見ればわかるんだ。特に阿部!あいつは要注意だな」

 そんな名前の人、いたような……。でも顔は思い出せない。

「俺のかわいい雪菜は俺だけのものなのに」

 そんな台詞、ドキドキしてしまう。見上げるとじっと私を見つめる瞳。以前と変わらぬ真剣な瞳に……すごくキュンとしてしまう。

 またそっと唇が重なったけれど、キュンとして抱き寄せられる感触と柔らかい唇に夢中になって、もう周りの目なんて気にならなかった。

 でも、舌がスッと唇をなぞったからゾクッとして、少し身を引いてフルフルと首を振った。

 さすがにお外でそんなキスはダメ。と、じっと見つめて訴える。

「ダメなの?」

「……だって、人もいるし」

「ふーん。じゃあさ、今日は一緒に風呂入ろ」

「え?……エエッ?」

 ちょっと意味がわからない。なぜ一緒にお風呂?どうしてそんな展開になるの??
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