嫌われ者に恋をしました*エピソードplus
実はイースターは毎年日にちが違う、年によって変動する休日。イースターとは春分の日の後にきた最初の満月の、次の日曜日。
うーん。いつも頭がこんがらがってしまう。そんなイースターを前に、レベッカさんの料理教室があった。今日は羊の形をしたパンケーキを作る。
ドイツでは、イースター当日に羊肉の料理を食べるらしい。だから、レベッカさんは羊の塊肉で作る豪快な料理のレシピをメモに書いてくれた。
敬虔なキリスト教徒のレベッカさんは、今は肉を食べない。食べないのに肉料理を作るのは勿体ないでしょ?と、肉料理はレシピだけで、今日はケーキを作ることになった。
「私みたいに日曜日以外肉を食べない人は少ないかもね。今はカーフライタークだけ肉を食べないっていう人も多いのよ」
「そうなんですか」
カーフライターク、とはイースター直前の金曜日。キリストがこの金曜日に十字架に磔にされて、その後復活した日曜日がイースター(復活祭)となる。
キリストが亡くなったと言われるカーフライタークだけ肉を食べないっていうのはつまり、キリストが磔にされた日だけはせめて喪に服そう、ということなのかな。
花ちゃんが急に鼻息を荒くした。
「カーフライタークはお店とかも休みになっちゃうんだよ!」
「えっ?そうなの?」
「そうだよー!不便なんだよー」
「まあ、そう言わずに。家で静かに過ごせばいいじゃない」
レベッカさんは、にっこり笑って花ちゃんをなだめた。
いつもと同じ元気な花ちゃん。
この間、隼人さんに話を聞いてもらったから、今日は私もいつもの私だと思う。
隼人さんの言う通り、一人で勝手に嫉妬なんかしていないで、それを力に変えて、前向きになろう。少し吹っ切れてそう思えるようになった。
今日の帰りはお茶して帰ろうって花ちゃんを誘ってある。花ちゃんは「いいよー」といつも通りニコニコしてうなずいてくれた。