ESORA PINK《短》
03 「潤んだ目は可愛いのに」
いつの間に眠ってしまっていたのか、誰かに頭を撫でられている感覚に目が覚めた。
その優しい手付きがあまりにも気持ち良くて、このまま起きることがもったいない気分だ。
それでもなんとかうっすらと目を開けると、目の前にはオフホワイトに包まれた腹筋が見えた。
誰かに膝枕をしてもらっていることは、頭の下から伝わってくる温かさと感覚でなんとなく察していたけれど。
目の前に映るオフホワイトは私にとっては予想外のものだった。
私の予想では膝枕の主は、オフホワイトではなくダークブルーだったのだ。
予想外の事態に半分ほど開いていた瞼を完全にひらいて、恐る恐る視線を上へと持っていく。
胸板、鎖骨、首筋。
美しいそれらのパーツを通過して、視線を膝枕の主まで上げていくと。
私の頭を撫でている廉と、視線がばっちりと交わってしまった。