とけるほど、抱きしめて

切ない気持ち

「圭祐さんご馳走さまでした。」
「喜んでもらえて良かった。本当言うとマキちゃんと話したかったんだ。」
あまり女の子の扱い方慣れて無いから 、
ちょと強引だったね。」照れながら下を向く圭祐さん。
「今日の事…カナには」そこで言葉に詰まってしまう。
「どうして?俺が誘ったんだし、気にすることはないでしょ?」
沈黙が続いた。
「今日は、ありがとうございました。」
視線を合わせたらまた会いたくなってしまうから、駅まで走った。
「ハァハァ」苦しいよ。なんでだろう、
涙が出てきちゃうよ。恋しちゃたの?
肩にかけて居るカバンがいつもより重く
感じるのは恋の痛みのせいなの?
電車から見える町並みさえ悲しく映る。
マンションまでどうやって帰ったかさえ覚えていない。

圭祐さん、好きになっちゃいけないんだよ。忘れなきゃ…。今日の事は…。

デザイン画を考える時間が私の気持ちに蓋をしてくれる。
考えないと。今は、仕事、仕事。
それでいい。

それでもまた日常がやってくる。
< 2 / 35 >

この作品をシェア

pagetop