コンプレックスさえも愛されて。



「実は結構いるんだよ。人事とか、その辺にバレなきゃ大丈夫らしいしな」
「そ、うなんですか?」
「あぁ……たださ、人事にバレたら、どっちかは確実に飛ばされる、っていう話だから……絶対に気を付けような」
「…………」
「沙耶香?」
「あ、はい……じゃあ、あまり、話とかしないように…」
「いや、それは無理だし…」

彬さんは豪快に笑ってるけど、私はなんだかドキドキしてきちゃって。



「書庫も、あんまりよくないですね」
「えー、それは困る」
「困る、んですか?」
「そりゃ困るだろ。沙耶香不足になっちまうじゃねぇかよ」

大真面目に困った顔をしている彬さんを見たら、なんだか私は笑ってしまった。


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