○○するお話【中編つめあわせ】
フラフラする足を必死に進め、朦朧とする意識の中、歩き続ける。
どれくらいそうしていたかは分からないけど、街を抜け古い橋の下まで行った時、急にカクンと足元から崩れ落ちた。
まだまだ明るい日差しから隠れるように、橋の支柱の影へと身を潜めた。
はっはっ、と呼吸が信じられないほどに速く浅い。
さっきまで感じていた痛みは今はもうなく、代わりにひどい倦怠感と脱力感が襲っていた。
気を抜くと、すぐに意識が遠のいていく。
視界はもう明るさしか捕えていなくて、かすむだとかそんな騒ぎじゃない。
制御の利かなくなった心臓がどこまでもテンポを上げていくもんだから、マジかよと呟こうとして……声が出ない事に気付いた。
あー……と、終わりを悟り、目を閉じる。
麗を守って死ぬなら悪くないなんて……嘘だ。
本当はもっと麗といたかった。笑ったところを見たかった。冷たい目で見られて、バカにされたかった。罵られたかった。
カイジさん、って呼ぶ声がもっと聞きたかった。もっともっと、上手いケーキを食わせてやりたかった。もっとあのお揃いのマグカップで紅茶とコーヒー飲みたかったし、お揃いのモンだってもっと色々欲しかったし、いつかはあのベッドで一緒にも眠ってみたかった。
こんなにもやり残した事があるのに俺死ぬのかー……。
ヒーローってツラいんだな。いつも悪役だったから分かんなかったわ。黒いマントつけたヒーローとか、麗ちゃんが見たら〝胡散臭い〟とか絶対言うんだろうな。
そう思ったら、ちょっと笑えた。