○○するお話【中編つめあわせ】
デレデレしているお兄ちゃんに、「彼女とかいないの」と聞くと、「おまえっ、もしかして彼氏が……?!」とか、見事なブーメラン返しを受ける。
面倒くさいお兄ちゃんを「彼氏なんかいないよー」と軽くあしらっていると、キッチンからお母さんが言う。
「近すぎるなんて、今更じゃない。
恭くんと凛は生まれた時から散々近くにいたんだから」
呆れたみたいに笑うお母さんに、そっと視線を伏せた。
散々近くにいたし、近すぎるなんて今更。
でも、上手くいかなくなる事だってあるんだよって、心の中で呟いた。
『頭撫でればいーんだろ』
恭くんの冷たい声が、耳の中で何度も繰り返される。
そうだよ。私は恭くんに頭を撫でてもらいたかった。
よかったなって、前みたいに褒めて、一緒に喜んで欲しかった。
だけど……。
『頭撫でればいーんだろ』
そんな義務みたいにされたくなかったの。
面倒くさそうにして欲しくなかったの。
喫煙室で、私には入れない場所で、田坂さんには笑って触らせるのに。
私に触るのは面倒くさいの?
私の事、もう面倒くさいとしか思ってない……?
〝お兄ちゃんが寂しがるから、しばらく実家で過ごす事にします〟
ずっと傍にいたから必要なかったメールを、久しぶりに送った。
恭くんから、返信はなかった。