二度目の恋の、始め方



「選抜模試ですか?」


お昼休み。きょんと学食に行こうと教室を出たら突然、担任に進路相談室に呼び出された私は、机の上に置かれた全国統一選抜模試というプリントに目を丸くした。

「川嶋さん、最近成績下がってきてるでしょう?このままじゃ特待の制度に引っ掛かりそうなの。それでこの模試ってわけ」

「……この模試でいい成績採れば……ってことですか」

「そう。受けてみない?」

そう言って選抜模試の申込書を差し出してくる先生。前回の定期テストも平均点ギリギリで、そろそろ指摘されると思っていたけど、まさか選抜模試を勧めてくるとは予想していなかったので驚いた。
それでも私には拒否権なんて無くて……

「はい。受けます」

「本当?良かったー。ここで踏ん張ればまた次に繋がるし、川嶋さんなら大丈夫よ」

「学校に通えなくなるのは困りますので」

問題ばかりでどうしようもない父が唯一、自慢出来る事。それは私がこの名門校に通っている事。父の生きる糧になっている英に、何が何でも残らなきゃいけないし、身勝手だけど、まだ雄大とも離れたくない。
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