二度目の恋の、始め方
「それでね川嶋さん。先生考えたんだけど、Sクラスの葉山君って居るじゃない?彼も選抜受けるみたいだし、
勉強教えて貰ったらどうかなって~」
「え?」
先生の突拍子のない提案に、申込書を書いていた手が止まる。葉山クンってあの毒舌冷酷男子、葉山壱樹クンのことだろうか。もしそうであれば苦手だし、出来れば遠慮したいけど。
「彼すっごく頭良いのよ~。この間のテストの帰り際「問三の数式、間違ってます。この程度の問題間違うなんて教師やめた方が良いんじゃないですか」
なんて言うものだから、わ、わたし……」
「先生!?」
「ぅ、……っ、酷い、でしょう。でもね、先生が悪いんだからしょうがないの」
両手で顔を覆って、肩を震わせて涙ぐんでいる先生は非常に涙もろい。それにしても先生にまで信じられない発言をしている葉山クンは本当、どうかしてます。
「ハァ?それでオーケーしちゃったの?」
5限終わりの休み時間、さっきの出来事をきょんに話すと呆れた表情を向けられた。
「だって仕方ないもん。あそこで私が断れば、先生もっと落ち込んじゃうよ」
「でも相手はあの葉山君だよ?大丈夫?」