二度目の恋の、始め方
それでも相手はあの雲の上の存在、宮路雄大クン。私と彼が……なんて想像も出来なくて。
「………あの、」
「俺、意外とせっかちな性格なんだよ。決めかねてんなら、アレで勝敗つけようぜ」
そう言って雄大が指さしたのは床に転がるバスケットボール。意味が分からずに首を傾けると、雄大は片手でボールを拾い上げて器用に人差し指でクルクル回す。
「え?何?私、バスケット出来ないよ」
「違ぇよ。ここから、俺の投げるボールがあそこのリングに入ったら俺の勝ち。入んなかったらお前の勝ち。どう?」
「ここからって、そんなの無理……」
「へぇ。じゃあ決まりってことで。約束はゼッテェ守れよな」
こからバスケットリングまではかなりの距離。いくらバスケが上手い雄大でもさすがにこの距離は無理だと思う。
それなのに雄大の表情は余裕すら伺えて、両手でボールを頭上に掲げ、綺麗なホームでリングにボールが吸い込まれた瞬間、私は歓喜の悲鳴を上げた。
「……入った。入ったよ!すごいね宮路くん!」
何故だか、賭けを忘れて負けたのに喜んでいる私を見て、雄大が安心したように微笑んだのを今でも覚えてる。