二度目の恋の、始め方

あれから情緒不安定に陥ってしまった先生の提案を断るわけにもいかず、しぶしぶ葉山クンに勉強を教わることを了承すれば、パッと花が咲いたように笑顔になる先生。「早速、葉山君にお願いしてみる」と急ぎ足で進路相談室を出て行った。

「なるようになるさ。大丈夫だよ」

「……お気楽ねぇ……にしても葉山君、顔は最上級なのに性格でだいぶ損してるよね~」

「代問題だよ。……あ。」

きょんと机に伏せて葉山クンの話で盛り上がっていると、廊下側の一番前の席のおさげ髪の女の子と目が合うものの、あからさまに逸らされてしまって落ち込む。あの日以来、話かけても無視されるんだよね。

…………まだ、怒ってるのかな。

「あ~あ。山田のあの態度、あからさま過ぎ。葉山君に相手にされなかったのは自分の責任なのに、どうしようもないね」

「あの眼鏡のこ、山田さんって言うんだ」

「知らなかったの?山田花江、名前まで地味ってある意味スゴいよね~。ああいう物静か~なのに限って何するか分かんないし、気を付けた方が良いよ、凛」

「え~まさか~」

そう。山田さんに限って絶対そんなこと有り得ないと、この時は思ってたんだ。
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