二度目の恋の、始め方
そのまま一週間が過ぎて、季節は10月。あれから大きなトラブルもなく順調に理玖ときょんは交際を続けていて、それはそれはもう周りが呆れるほどのらぶらぶぶり。
「理玖君、お口開けて?はい、あ~ん」
「あ~ん」
最近きょんの付き添いで何故か、Sクラス御用達の屋上でお昼ご飯を食べている私は、目の前で繰り広げられる理玖ときょんの甘過ぎる光景にもだいぶ慣れつつあった。
変わったことと言えば、制服が赤茶色のブレザーに衣替えしたくらいで。
「……もう少し離れて食べれば良いのに」
「羨ましいからって妬まないでね~りんりん。杏子ちゃん、明日は卵焼き甘めで~」
「あ!ごめんね!気をつけるね!」
屋上に広げられたハート柄の敷物の窮屈そうな空間で、きょんの手作り弁当に文句を付ける理玖ちゃんを、少し離れたところに座って眺めながら手に持っていたメロンパンをかじる。
「別に妬んでないもん。理玖ちゃんのば~か。アッカンベェ」
「凛、幼稚園児みたい」
私の隣で、有名ブレンドコーヒ片手に難しい分厚い本を読んでいた葉山壱樹クンは、私の顔を見るなり呆れた視線を投げかける。
「だって理玖ちゃんが……」
「凛もああいうのやりたいんだ?他の女なら絶対にやらないけど、凛がどうしてもやりたいなら特別にやってみようか」