二度目の恋の、始め方
………いや、ご遠慮しますね。あなたと食べると、いつ何を言われるかずっと身構えてなきゃいけないもん。
「……ご遠慮します」
「そうやって俺を拒否るのは凛くらいだよ。まぁ、ソコが良いんだけどね」
「別に好かれても嬉しくないと言うか……」
「何その言い方。自分の立場分かってる」
「え?」
「この俺が貴重な時間を割いてまで勉強を教えてやるって言ってるのにその態度?なんなら辞めても全然構わないけど」
分厚い本に視線を向けたまま、缶コーヒーを優雅に啜る葉山壱樹クンの綺麗な横顔を眺めて、何も言い返せない私はメロンパンを頬張った。
「とってもイイ性格してますね」
「生まれつきこういう性格だからね」
「昨日会った……美月ちゃんもですか?」
「さぁ、どうだろね。あいつと俺は、そもそも育った環境が違うんだよ」
「環境?」
「もうあいつの話はやめてよ。気分悪くなる。それより放課後、勉強教えてやるから俺等の教室来なよ」
「Sクラスにですか」
「普通科みたいな煩い場所で勉強出来ると思うの。それに汚いし。じゃあね」
美月ちゃんの名前を出した途端にさらに不機嫌を露わにした葉山壱樹は本をパタンっと閉じて立ち上がると、その長い足を動かして出口へ向かって歩いて行く。