二度目の恋の、始め方

育った環境が違うってどういう意味だろう。気になるけど深い関係でもない他人がこれ以上詮索するのは変だし、屋上を出て行く葉山クンの後ろ姿を見送りながら残りのメロンパンを口に入れて立ち上がる。

「りんりんさ~、あの双子にあんまり深入りしない方が良いよ~」

「え?」

「りんりんだって触れられたくない過去の一つや二つあるでしょ~。それともイッキーに惚れちゃってるとか~」

「そうなの、凛!」

「いやいやいや」

興奮気味のきょんの膝に頭を乗っけて、八重歯を覗かせて意地悪く笑う理玖ちゃんに首をフル。触れて欲しくない過去があるのは私も同じなのに、それを分かって言ってるのなら理玖ちゃんは本当に意地悪。

この二人と居たら当分教室に戻れそうにないので、幸せそうなきょんに「先に教室戻るね」と一言告げて屋上を後にした。Sクラス専用の屋上でご飯を食べ始めて一週間、いつ雄大と鉢合わせするだろうとドキドキしていたけど気持ちとは裏腹に彼とは逢えないまま。一目だけでも、とだんだん欲張りになる自分がいる。
こんな風に想うことさえ、罪深いんだよね。


「関係ない奴等は引っ込んでてっ、鬱陶しい!」

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