二度目の恋の、始め方
県内一、二を争う名門、英高校は中間期末に加え、全国模試、センター試験、週に一度の定期テストがあり、特待生の私は成績を落とすわけにはいかない。
「凛は頑張りやさんだから、息抜きも必要だよ。たまには肩の力抜いてリラックス」
優しく頭を撫でてくれるきょんの手は心地良い。中学卒業と同時に短くした髪も肩上まで伸びてそろそろ結ばないと怒られそう。
「だってあの先生、授業進むペース速いんだもん。しかも課題の量は鬼だよ、オニ!売店のバナナオレ飲めば元気でるのにな~」
「それとこれとはべ~つ」
「えぇ。きょんのケチ」
「じゃあこの問題解けたら奢ってあげる」
意地悪な顔で教科書を指差すきょんに「英語苦手なの知ってるくせに」と頬を膨らませると「やっぱ子供」そう言って豪快に笑われた。
むぅ。こうなったら意地でも解いてやる。
私は、再びノートにペンをはしらせた。