二度目の恋の、始め方
「……にしても無謀だよ。どうしてそこまでしてハナブサに入りたかったのか理解に苦しむわ。私なら普通に公立選ぶけど」
そんなきょんの言葉に苦笑いを返す。中学の頃、成績があまり良くなかった私が英高校を受験したいと打ち明けた時、担任は驚きのあまり倒れ救急車で運ばれるという悲惨な出来事が起きた。
それでもどうしてもココに入りたい理由が私にはあったんだ。
「だって制服可愛いじゃん。私立の制服なんて世の中の女子高生の憧れだよ」
「そんな理由?」
「まぁ~ね~」
呆れた表情のきょんは興味なさげに窓の外に視線を移す。白のブラウスに赤と茶色のチェックのベストにスカート。首もとのリボンは確かに可愛いけど、まさかそんな理由で死に物狂いに勉強するはずがない。
「……あ。宮路グループ!今日も光ってんね~」
キョンの言葉に、はしらせていたペンが止まる。
窓の外に視線を移せば、三階の教室にいる私達の視界に必然的に飛び込んでくるのは向かいの屋上。一気に心臓が飛び跳ねた。