キミだから・・・
空と一緒に教室に入ると、大地が机に座ってムスっとした表情を浮かべていてた。
「大地?やっぱり告白かい?」
「あぁ......なんかよ?
『ずっと前から好きでした!
付き合ってください!』」って言われてよ?『俺、好きな子いるから』って言ったら、『それでもかまいません
その子より大地くんの好みの人に近づけるようにしますから......
いつか、本当に好きになってもらえればいいですから』って......それって、
無責任すぎねーか?」
「まぁね、告白するときの典型的なパターンだよね......」
空がメガネを人差し指でくいっとあげて苦笑いしながら答える。
「おう......あれ?ってか、日愛は?」
「あぁ......調理室で森下さんに、
『今日大地くんに告白するから
今日のプリンは渡さないで』とかなんか、だから、大地くんにプリンあげる以外に用はないから先に帰るって......」
「は!? んだよそれ!日愛は俺を置いていったのかよ......あの野郎!
じゃあ俺、日愛を追いかけっから!」
「......あっ!ちょっと待って!」
大地くんが飛び出しそうになったのを慌てて止めた。
「土館、なんだよ?」
「プリンくらい受け取ってあげたら?」
私がプリンの入っている箱を指差すと、
「あ......あぁ...そーだな......じゃあなっ」
大地くんはプリンの箱を持って、手を振りながら、教室を出ていった。
「...じゃあ、有紗、僕たちも帰ろうか?」
「そうだね......」
大地くんのあとに続いて私達も教室を出た。