陽向のひなたぼっこ
洗面所へと向かうと父親が流しにお湯を張ってくれていて、子猫をゆっくりそのお湯へと入れた。
そして嫌がる子猫の体を抱え、父親がガーゼを濡らして子猫の目ヤニやら鼻や体の汚れを取ろうとするのだが、乾燥していて取りにくい。
無理に取ろうとしたら皮膚が薄いために剥がれて血が出るかもしれないからとゆっくり丁寧にはするものの、こびりついた汚れは取れそうになかった。

最悪だったのはその前日の夜の天気が雨だったこと。
雨で泥まみれになった体が、この日の晴れの天気で乾燥して余計に汚れは酷さを増していた。
それでも泥の汚れは少しずつ取れて、キジ柄の毛並みが見えるようになってきた。

「痛いなぁ…ちょっと我慢してなぁ…。」

と父親が言いながら目の辺りを拭いているところで父親が、あ。と小さく声をあげた。

「こっちの子、目がもうダメかも。」

2匹の猫のうち片方の猫の片目が開かない上に眼球が真っ白に霞んでいたのが私にもハッキリと見えた。
そしてその頃ようやく母親も男の子のお母さんにこの子猫たちが見つかった時の詳しい状況を聞き終わったようだった。
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