少女の願い
『ねぇ、やっぱり家に帰ろ…』

僕が、話しながら少女の方を振り返ろうとした、その時。

繋いでいた少女の手が、するりと僕の手から抜けた。

―パサリ…

嫌な感覚がして振り返る。


「おにぃちゃ…ママは…?」

『…もうすぐさ。』

僕の言葉を聞いた少女は、安心したように弱々しく微笑み、そして目を閉じた。


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