Treasure
あたしはもう、男は信じひん。
そう決めた。


3年前のあの日―――





蘇っていた記憶に蓋をして、閉ざしていた口を開いた。
もちろん、答えは”ごめん”だ。


「ごめんやけどム―――」

「返事は明日でいいから! 
じゃーな!」


そう言い残し、あたしの前から姿を消した刹那。
その消えた背中を、ただ呆然と見るあたしは、沸々と怒りが沸いてきた。


今あたし…返事しようとしたよね…?
言いかけたよね…?

そうだよねぇ…?




人の話、ちゃんと聞けー!



あたし今、1人で喋って、めっちゃバカみたいやったやんか!


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