麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
プミラにまたがったセレイアの後ろに、とりあえずディセルも乗ってみた。

鞍の上なので、安定感がある。だがこれで本当に空を…?

「私の腰につかまってて!」

「わ、わかった」

指示通りセレイアの細い腰に手を回すと、ばさばさとプミラが翼を動かし、そして―

ふわりと浮遊感がディセルの体を包み込んだ。

「う…わっ」

思わず腰に回した手に力をこめる。

「大丈夫よ! この子は絶対あなたを落としたりしないから!」

セレイアのこの言葉を、ディセルはほとんど聞いていなかった。

目の前に開けた景色に、圧倒されていたからだ。

純白の家々に純白の雪。

家も雪も日差しをうけてきらきら輝き、まるで宝石箱のようだ。

なぜだか急に…なんといえばいいだろう。

とても見覚えのある景色のような気がして…。

美しさよりも迸る感情に圧倒された。けれどこの気持ちをなんと呼べばよいのか、わからない。切ない…そう、切ないのだ。なぜかはわからなかったし、それ以上何か記憶がよみがえるようなこともなかった。
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