麗雪神話~麗雪の夜の出会い~
「それでも姫巫女でい続けているの。だからきっと…神様が怒って霧を…」

「―それは違うよ!」

思わず大きな声が出た。

ディセルには、予言を聞く力がそんなに大切なことだとは思えなかったのだ。

セレイアは、きっとわかっていないのだ。

ディセルは胸の内の想いを、一生懸命言葉に変えた。

「今日一日、俺はセレイアを見てきたよ。
それだけでもわかった。セレイアが国を愛していること。自分の務めに一生懸命なこと。だから神様が怒るなんてそんなこと、ありえない。
予言を聞く力なんかなくったって、君は立派な姫巫女だよ」

セレイアが足を止め、絶句してディセルを見上げる。

月明かりでわずかに表情が読み取れた。

その顔は、驚愕の表情を浮かべていて…

そしてそれから、ふっとあたたかな笑顔になった。

「ディセル…ありがとう」

―そうだ。そうして、君にはいつも笑っていてほしい。
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