WHY
電車は横浜沿線鴨居駅から少し離れた、公団の団地の集会所で
 お通夜は営まれた。




 献花はそうそうたる面々が連ねていて、少々びっくりしたが、
 それは、やはりご両親の人脈の賜物と思われた。




 集会所の受付をすませて、私たちは奥にいらっしゃる、ご両親に
 挨拶をした。




 「はじめまして、私たち本日鈴木さんの送辞を読ませた頂きます。
  バレー部主将、海野亜紀子と申します。こちらが、副将の兼平真由美と言います。」




 「どぉも、父の雄三と、妻の佐智子です。このたびはわざわざ、清海の為ありがとう。
  いつもお世話になっていたと、生前清海から聞かせたもらっていました。」


 「えぇ~本当に、特にキャプテンの海野さんには、尊敬の念を抱いていたみたいで…。」

 「いえいえ、そう言って頂いて恐縮です。清海さんは私以上のがんばりやさんでしたから。」

 


 なんと言って声をっけたらいいものか、少々迷いながら話す言葉がよく分かる。
 これからの事を考えると、一人娘だし、居た堪れない。



 
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