AveniR-アヴニール-
カサブタを取りつくした傷を見てみると、

赤い鮮血がダラリと流れた。

「……ふぅ。」

この時の俺も異常だった。

赤い血が出ている間だけ、

俺は自分がデトリである現実を

忘れることができる。

自分がまともな人間でいられるんだ。

そんなふうに錯覚(サッカク)を起こした俺は

現実逃避(ゲンジツトウヒ)に浸っていた。

自分の血をみて

安心してる時に、

「おい!そこで何をしてる!」

遠くから声が聞こえた。
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