本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
この人にはかなわない。
だってキスをする恵こそ私のことが好きで好きでたまらないって顔で私を見るんだもん。
だから自信をみってみようかなって思う。
だって彼のこんなとろけるような顔をさせることができるのは私だけなのだから。
「なに?」
私も恵のことが好きで好きでたまらないって気持ちを伝えるために、ちょっと意地悪く、シャツの胸元を掴んで自分からキスをした。
甘い息遣いだけがリビングに響き渡る。
全身の力が抜けそうになったとき身体がぐらっと傾き私の身体はソファに仰向けになった。
「形勢逆転」
口角を上げ私を見下ろす顔にドキッとする。
「その顔は私の前だけにしてね?」
心の声が言葉として出ていた。
恵はフッと笑うとぐっと顔を近づけた。
キスまで数センチのところで止まると再び口角を上げた。
「全く、自分の魅力に気づいてないのは厄介だよ。その色っぽい顔がどれだけの破壊力があるか……教えてやるよ」
甘い言葉と触れる指先に私は自分がどれだけ愛されているのかを改めて知った。
そして自分を変えてくれるのは彼だけなのだと確信した。
< 108 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop