本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
「めちゃくちゃ心配したんだ・・・・」
小牧君の声は小さかったが叫びに近いものだった。
「え?」
「杏奈は・・・つっちーと仲良くしすぎなんだよ!」
小牧君の声が大きくなる。
「え?何言ってるの?」
そう言えば帰りに香織も似たような事を言ってたけど私はそんな事これっぽっちも思っちゃいなかった。
だが小牧君は違った。
「あいつ、先生だけど若いしかっこいいし、杏奈は俺なんか よりあいつといる方が自然だし・・・そう思ったら気が気じゃなかった」
そんなんじゃないとすぐに否定しようとするが小牧君は話を続ける。
「30分だけ手伝うって聞いてたから、その頃を見計らって電話したけど電話でねーし、メールもかえってこないし・・・時間が経つにつれて俺・・・めちゃめちゃ焦ってなんで断らなかったの?なんで俺にも
声かけてくれなかった?ってイライラして…別に一緒に冊子作りしたってよかったんだよ・・・それなのに」
いつものやさしい小牧君からは考えられないほど感情をむき出しで、握った缶コーヒーがへこむんじゃないかっていうくらい手にも力が入っているようだった。
「しかも・・・つっちーの車で送ってもらおうとかとしているし…誤解を招くような事…するなよ」
怒りに近い言葉にさすがの私もえ?と思った。
小牧君は私を心配してるって言うけど本当にそうなのかな?
私は今日一日悶々としていた。
クリスマスのことだ。
彼女だけど予定は決まってない。かといって自分から誘うのは図々しいかなって思ったりしているのに
小牧君はクラスのみんなとクリスマスのことを楽しそうに話してる。
それなのに辻先生の手伝いをしただけでなんでここまで言われなきゃいけないの?
そこまで言うならなんでクリスマス誘ってくれないの?
なんだか頭が混乱して怒りの矛先が別の方向に進んでいることに気づいた私は頭をリセットしたかった。
私はすっと立ち上がると帰ると言って歩き出した。
「おい!杏奈・・・っておい!何勝手に帰ろうとするんだよ!待てよ」
小牧君が私のカバンを持ってない方の手を掴んだ。
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