本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
「杏奈・・・ちょ・・ちょっと待ってよ。クリスマスって…」
小牧君は私の手を離して、あちゃ~~と言いながらしゃがみ込んだ。
そして「違うんだ!」と叫ぶような声と共に後ろから抱きしめられた。
「離して」
「いやだ!」
「私なんかよりもっといい子がー」
いる・・・そう言おうと思ったがその言葉は小牧君の唇でかき消された。
なんでこんなキスするの?
悔しくて悲しくて、小牧君のを突き放した。
「ごめん、黙らせる方法がこれしか思いつかなくて。でも俺が、何も考えてないと思った?俺はあいつらとクリスマスを過ごそうなんて思っちゃいないし、参加するとも言ってない。あんまり早く断ったらあいつらがいろいろと探るだろ?杏奈は付き合っていることを内緒にしてほしいって言ってたし」
「え?」
「でもその事で杏奈を悲しい気持ちにさせていたのは気付かなかった・・・一番先に言わなきゃいけないのは杏奈だったのに」
ってことは私の早とちりだった?
恥ずかしくって穴があれば入りたかった。
「杏奈、クリスマス俺と一緒に過ごしてくれませんか?・・・出来ればその・・・朝まで一緒にいたいな?って思ったりするんだけど」
朝まで一緒にいたい・・・それが何を意味するか私でもわかる。
正直怖い・・・だけどそれでも私は小牧君と一緒にいたかった。
だって大好きだから
「私でいいの?」
「うん。杏奈がいい」

あんなに温かったミルクティーは完全に冷たくなっていたが私の心は温かった。
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