本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
「香坂~~!」
辻先生に呼ばれた。
「新学期早々なんですか?」
本当は改めてあの時のお礼をしたかったが香織たちの手前いつものように冷たい態度を取ってしまった。
「ちょっといいか……」
でも先生の顔は真剣だった。
これから香織たちと約束もありどうしようかと思ったが、なぜか香織は顔をにやつかせた。
「私たち先に行ってるからさ!後で来てね」
陽菜の手を引いて急いで教室を出ていってしまった。
え?まさかこれって完全に勘違いされてる?
でも今は早く用を済ませるのが先だ。
私はその後ろを追う様に小走りで先生の後をついてった。

連絡通路の前で先生は足を止めた。
「お前大丈夫か?死んだ魚の様な眼してたけど」
「し…死んだ魚って・・・先生酷い!」
私が怒ると先生はクスッと笑った。
「まあ?怒る元気があるなら大丈夫か」
「え?」
私を心配してわざと怒らせる様な事を言ったのだとわかった。
「目はもう大丈夫見たいだが・・・ここはダメみたいだな」
先生は親指を立てるとそれを自分の心臓へと向けた。

・・・心はダメみたい・・・・
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