本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
美和が呼び出しブザーを押すと店員が注文を取りに来た。
美和はホット1つだけ注文した。
え?私と浅野さんの分は?と思ったが正直注文する余裕もないから何も言わなかった。

私は下を向いたまま、あのマフラーの事を考えていた。
なぜ、持ってきたの?
もしかしていらないから返すとか?
でも返してもらってもいらない。
それとも愛用してたりして?……あはは……ないわ。それないわ。

コーヒーが届くと美和は
「こっちです」
となぜか私の前を指さした。
「え?これ・・・美和のじゃ?」
美和の顔を見るとニカッと笑いながら腰を浮かせた。
「航ちゃん帰ろうか」
浅野さんも同じ様に席を立とうとするのを私は慌てて引き止めた。
「え?な、なに?ちょっとなんで帰るの?」
「杏奈、後は二人でちゃんと話しなさい。私たちはここまで連れてきてただけ。邪魔者は退散します」


そんな話聞いてない!私も一緒に帰る!そう思い席を立とうとしたら小牧君が私の手を掴んだ。
「確認したいことお互いにあるだろ?逃げるなよ」
小牧君の真剣な目に私は動けなくなった。
立ち上がろうとしていた腰にも力が入らなくなり、そのまま重力に負ける様に腰を下ろした。

「杏奈頑張れ!」
美和は優しい笑顔でガッツポーズをするとそのまま浅野さんと帰って行ってしまった。
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