本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
私の小牧君への思いが、まるで高校時代にタイムスリップするかの様に溢れ出た。
見た目は大人になったけど、心はあの時から一時停止していた。
そして再生ボタンを押したかのように私たちの思いが動き出した。

「ここ・・・出ようか」
時間は日付が変わったばかりだった。
明日は土曜で仕事も休みだけど、もう帰らないといけない。
せっかく誤解が解けてたのに帰らないといけないかと思うと寂しいと思うのは私だけなのかな・・
ほんの数時間前では考えられないことだった。

レジで小牧君が会計をする横で私は慌てて財布を取り出しコーヒー代を払おうとするが、小牧君の手がそれを拒んだ。
「これくらい俺が払う」
これくらいって言うが考えてみれば居酒屋での支払いも小牧君が出してくれた。
なんで私って気が回らないんだろう。
うなだれながら店を出て、私は思い切り頭を下げた。
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