ヒカリ
ガタンガタン、と電車は揺れる。

足元から出てくる温かい空気も、がらんと空いた黄土色の車内も、朝とまるで同じで、ただ隣に泉水がいないだけ。


仕方ない。


自分に言い聞かせる。


そういう約束だったでしょ。


仕方ない。
仕方ない。


キスの後、真上から見つめた泉水の澄んだ瞳を思い出す。
震える睫毛の一本一本や、驚いたように薄く開いた唇から溢れる白い息や、真っ赤な頬っぺた。



仕方ない。
仕方ない。



約束だから。


もう会わない。

泉水にはもう会えない。



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