男装騎士~あなたの笑顔護ります~
その時、通信機が鳴り響く。
見ればフランからだ。
「出ないのか」
王はその様子を見て、そう言った。
私の事を心配してかけてきてくれていることはわかってる。
塔に私の姿がないから心配してくれてるんだ。
でも、自分の口からこの事実を告げる勇気が出ない。
言いたくない。
王の妃として側にいることになった、なんて。
「出ないのならわしが出てやろう」
「いい!私が、出るから・・・」
王が伸ばした手から慌てて通信機である指輪を守る。
唇で触れると通信状態に切り替わった。
―ユキ!?今、どこにいるの?部屋にいないからみんな心配してるよ
優しいフランの声。
戻りたい。
彼らのもとに。
でも、きっと戻れば・・・。
魔物の手が彼らに向けられる。