男装騎士~あなたの笑顔護ります~
目を覚ますとそこは薄暗く、埃っぽいところだった。
身体を起こそうとすると、首の後ろがズキッと痛んだ。
そうだ、私叩かれて・・・。
手は後ろ手に縛られていて解くことができない。
「目が覚めたかい?お嬢ちゃん」
男の声が聞こえ顔を向けると、フードを深くかぶり顔を隠した男が一人そこにいた。
少しだけ見える口元がニヤニヤと弧を描いて気持ち悪い。
「あんた、一体何!?」
「お嬢ちゃんも、かわいそうにね」
「は?」
「王子さまに気に入られたばっかりに、こんな目にあってるんだから」
男は私の質問には答えず飄々とそんなことを言う。
「どういうこと!?」
「君は、恰好の人質ってわけだよ」
「ひと・・・じち・・・?」
男は私の前にドカッとしゃがみ込む。
目の前に、男の首にかけられたグリーンの水晶のついたネックレスが揺れた。
男は私の目の前に一本の注射器を見せた。