男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「あの、私が女だって、黙っててほしいの」
「それは、構わないけど、本当に護衛隊として働くつもり?」
「うん。だって、私にはその道しか残されてないから」
もう一つの道は、処刑台。
逃げたところで、あのグレンなら私を探し出しそうだし。
「ユキはさ、通信機も知らないってどこから来たの?」
「え・・・。わからない。でも、たぶんこの世界じゃない、別の場所だと思う」
「そこにはさ、危険ってあった?」
「皆無じゃないけど・・・、凄く身近でもないかな・・・」
それこそ、命を懸けた戦いなんて、なかった。
ここの人たちが、なにと戦っているのかはわからないけど。
それが命がけということはなんとなくわかる。
「ユキの戦い方を見ていて、そうなんじゃないかなって思ったんだ」
「え?」
「確かに強いんだけど、実践にはなれてない。どこか、手を抜いてる。それは、相手がノアで、とかそうじゃなくて。きっと無意識的に」
「無意識・・・」
「本気の相手を殺すつもりでの戦いなんて、したことないんでしょ?」
そんなもの、あるわけない。
殺す、だなんて。