さちこのどんぐり
◆みんなの笑顔
その日も朝から快晴。
長かった冬も終わり、あちこちで春の兆候が聞かれるようになっていた。
休日に書類整理のため、ジーンズに厚手のパーカーという普段着で
出社していた坂崎は社員寮でカラスの捕獲劇があったことを聞いて驚いた。
小野寺から事後処理について相談された坂崎は
その捕獲されたカラスを役所の係りに回収に来てもらう段取りを整えた後、
とりあえず社員寮に向かった。
「木村さん、無事だったから良かったものの、あまり無理をなさらないでください。」
そこにいた木村と吉田に坂崎がそう言っても
「いやー吉田の最初のショット。あれで勝機が見えたなー」
「いやいや、あれはお前が『おとり』になってくれたからだ。」
二人はまだ興奮冷めやらぬ様子で「カラスとの戦い」を振り返っている。
小野寺までが
「坂崎課長!木村寮長と吉田さん、かっこ良かったんですよ!」
「やれやれ…」
役所の車がカラスを回収し、走り去っていくのを見送りながら、坂崎は
「それでは、私はこれから家族と約束があるので…」
そう言って、駅のほうへ向かった。
独身寮を出た坂崎は
10分ほど歩いて到着した駅前で、
待ち合わせ場所にしていたキリンのオブジェの前、
周りを行きかう多くの通行人に紛れて、一人立っている彼の妻を見つけた。
彼女は黒いタイトパンツにヒール付の靴を履いていて、白いニットの上から黒いジャケットという格好。
坂崎は「ちょっと自分の服装はラフ過ぎたかな」と少しだけ後悔した。
長かった冬も終わり、あちこちで春の兆候が聞かれるようになっていた。
休日に書類整理のため、ジーンズに厚手のパーカーという普段着で
出社していた坂崎は社員寮でカラスの捕獲劇があったことを聞いて驚いた。
小野寺から事後処理について相談された坂崎は
その捕獲されたカラスを役所の係りに回収に来てもらう段取りを整えた後、
とりあえず社員寮に向かった。
「木村さん、無事だったから良かったものの、あまり無理をなさらないでください。」
そこにいた木村と吉田に坂崎がそう言っても
「いやー吉田の最初のショット。あれで勝機が見えたなー」
「いやいや、あれはお前が『おとり』になってくれたからだ。」
二人はまだ興奮冷めやらぬ様子で「カラスとの戦い」を振り返っている。
小野寺までが
「坂崎課長!木村寮長と吉田さん、かっこ良かったんですよ!」
「やれやれ…」
役所の車がカラスを回収し、走り去っていくのを見送りながら、坂崎は
「それでは、私はこれから家族と約束があるので…」
そう言って、駅のほうへ向かった。
独身寮を出た坂崎は
10分ほど歩いて到着した駅前で、
待ち合わせ場所にしていたキリンのオブジェの前、
周りを行きかう多くの通行人に紛れて、一人立っている彼の妻を見つけた。
彼女は黒いタイトパンツにヒール付の靴を履いていて、白いニットの上から黒いジャケットという格好。
坂崎は「ちょっと自分の服装はラフ過ぎたかな」と少しだけ後悔した。