さちこのどんぐり
ある日は、ホスピスのほうにある湖のほとりで泣いている大人の男のひとがいました。
傍には車椅子に座った女のひともいます。
「どうしたのかにゃ…悲しそうなのにゃ…」
さちこは近くで見つけた「どんぐり」を2人の足元に置きました。

その「どんぐり」を見て車椅子の女のひとはにっこり微笑み
男のひとは少し泣いてから、でも…
やはり微笑んで女の人に何やら話しかけていました。
さちこはその男のひとに最初の飼い主と同じ匂いを感じましたが、別のひとでした。




また、ある日は、そのホスピスと併設されている病院の中庭で
悲しそうに座っている男の子を見かけました。

この男の子はさっき同じ場所で女の子と一緒にいたような…

「ひとりぼっちでさみしいんだにゃ」

そう思ったさちこは、その日コウタくんに持っていこうと公園で見つけた「どんぐり」を。その男の子の足元に置いてあげました。







< 153 / 163 >

この作品をシェア

pagetop