さちこのどんぐり
さちこは近くの公園で見つけた「どんぐり」を
その部屋の前に置いておきました。
自分に優しくしてくれる人間には笑顔になってほしかったから、

翌朝
部屋から出て来た例の女の子が
足元に落ちていた「どんぐり」を見つけて
最初は不思議そうに眺めたあと
ニッコリ微笑んだのをさちこは隠れて見ていました。

「やっぱり『どんぐり』はすごいのにゃ」

しばらくして、さちこは
なぜか、その女の子からも「さちこ」と呼ばれるようになりました。


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