強引社長の甘い罠
「俺をこんなに昂ぶらせるのは君だけだ。そんなくだらないことを考えるくらいなら、今すぐそうじゃないということを示してあげたほうがよさそうだ」

「え……?」

 祥吾が楽しげに、何かを企んでいる子どものような笑顔を見せた。

「そして、それができるのは俺だけだ」

「しょう……んっ……」

 すぐに唇を塞がれた。朝の目覚めのキスなんかじゃない。もっと深くて、もっと熱い、恋人のキス。私はたちまちそのキスに夢中になった。もう他のことなんてどうでもいい。

 祥吾の右手が私の脇腹を撫でた。そのままTシャツの裾から侵入を開始する。左手が私の寝癖がついているに違いない髪に差し込まれると、私はほんの一瞬冷静な自分を取り戻した。祥吾はどこまでするつもり? 本当に、するの? 彼の手が、先ほどTシャツの上からなぞっていた道筋を今度は肌の上で逆戻りし始める。ああ、だめ……。この甘美な感覚を拒むなんて出来ない。

「祥吾……」

 両手を祥吾の首に回すと私も彼を引き寄せた。

 カーテンの隙間から朝日が差し込む薄明るい室内で、私は出勤するために一度自宅へ戻らなければならないのに、こうして彼と抱き合っている。だけどこの時間は他の何にも変えがたい大切な時間だ。少しくらいこうしていたって、まだ会社には間に合うでしょう? シャワーと化粧をいつもより手早く済ませれば大丈夫。だって、私は、今、祥吾とこうしていたい……。
< 124 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop