強引社長の甘い罠
 課長に指摘されて私はたちまち恥ずかしくなった。まったくもう。デートって言われただけで乙女みたいな反応しちゃって、私はもういい大人なのよ?
 そこへ及川さんが首を突っ込んできた。

「七海さん、もしかしていい人でも見つかった?」

「え!」

「だってそんなに浮かれちゃって。男が原因としか考えられないもの」

「あら」

 鈴木課長も興味深そうに目を丸くする。私は苦笑いをするしかなかった。なんだってみんな、私の恋愛事情にこんなに興味津々なの?
 私は恨めしげな視線を及川さんに向けた。彼女はすぐに気づいて肩を竦めると何もなかったように自分の仕事を再開している。

 私も何とかして話題を逸らしたいと考えをめぐらせていたけど、課長もすぐに仕事モードに戻ってくれてホッとした。

「ところで七海さん、さっきのエステの画像のことなんだけど」

「はい」

「オーナーに話をしたわ」

「そうですか。それでどうでした?」

 私が聞くと、課長は眉尻を下げて困った顔をした。

「それがね、色々問題もあって今はモデルにあまりお金を掛けられないみたいなの」

「そうなんですね……。でも正直言って、今ある写真だけじゃ説得力に欠けるような気もするんですけど」

 私が肩をすくめると、課長も同じことを思っているらしく頷いた。そしてとんでもないことを提案した。
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