強引社長の甘い罠
「うん?」
「……すごく素敵。私を連れてきてくれてありがとう」
「……ああ」
彼の返事に安堵が混じっている。そのまま私の頭の上に顔を埋めるようにして私を背後から抱き寄せた。ガッシリとした祥吾の腕が私の胸元で交差する。たくましい筋肉の盛り上がりに私は下からそっと両手を滑らせた。背中に密着した彼の体からは、彼の鼓動が感じられる。それはとても速く、私のそれと同じリズムを刻んでいた。
どうしたらいいのか分からなくなってしまった。
祥吾と再会してから、些細なことで喧嘩したりすれ違ったりして、私は彼に何度も生意気な口をきいてきた。彼だって、普段はとても威圧的で高慢で短気なのだ。私の全てを支配したがる彼に、私はいつも反発する。だけど彼は本当はいつだって……優しい。私はこの、とてもえらそうで、黒曜石の髪と紺碧の瞳を持った、とびきり魅力的な男性を愛しているのだ。とても深く、深く。誰よりも。
顔を俯けたまま、祥吾の腕の中で体を翻した。すぐにそれを感じた祥吾がほんの少し腕を緩めてくれる。私が祥吾の香りがするカーキ色のシャツを両手で握り締めて額を寄せると、彼は力いっぱい私を抱きしめた。
「どうしたんだ?」
祥吾の優しさを帯びた低い声が耳をくすぐる。私は小さく頭を振った。何でもないの。ただ、あなたを愛してるだけ――。
何も答えようとしない私の顔を覗き込んだ祥吾は、優しく微笑み、唇にそっと触れるだけのキスをした。ほんの一瞬、重ねられただけのそのキスはとても愛に満ちたキスだった。
「……すごく素敵。私を連れてきてくれてありがとう」
「……ああ」
彼の返事に安堵が混じっている。そのまま私の頭の上に顔を埋めるようにして私を背後から抱き寄せた。ガッシリとした祥吾の腕が私の胸元で交差する。たくましい筋肉の盛り上がりに私は下からそっと両手を滑らせた。背中に密着した彼の体からは、彼の鼓動が感じられる。それはとても速く、私のそれと同じリズムを刻んでいた。
どうしたらいいのか分からなくなってしまった。
祥吾と再会してから、些細なことで喧嘩したりすれ違ったりして、私は彼に何度も生意気な口をきいてきた。彼だって、普段はとても威圧的で高慢で短気なのだ。私の全てを支配したがる彼に、私はいつも反発する。だけど彼は本当はいつだって……優しい。私はこの、とてもえらそうで、黒曜石の髪と紺碧の瞳を持った、とびきり魅力的な男性を愛しているのだ。とても深く、深く。誰よりも。
顔を俯けたまま、祥吾の腕の中で体を翻した。すぐにそれを感じた祥吾がほんの少し腕を緩めてくれる。私が祥吾の香りがするカーキ色のシャツを両手で握り締めて額を寄せると、彼は力いっぱい私を抱きしめた。
「どうしたんだ?」
祥吾の優しさを帯びた低い声が耳をくすぐる。私は小さく頭を振った。何でもないの。ただ、あなたを愛してるだけ――。
何も答えようとしない私の顔を覗き込んだ祥吾は、優しく微笑み、唇にそっと触れるだけのキスをした。ほんの一瞬、重ねられただけのそのキスはとても愛に満ちたキスだった。