強引社長の甘い罠
 でも大丈夫。私は決して祥吾の手を離したりしない。何があっても、どんなことになっても、私は彼のそばにいる。そうじゃないと私がどうにかなってしまう。

 彼の長い睫が震えた。私がもじもじしていたから起こしちゃった?
 昨夜は結局、欲望のままに、何度もお互いを貪った。あんなに恥ずかしかった露天風呂も、やっぱり祥吾の思うようになってしまった。そしてその後も彼はベッドの上で驚くほどの体力を見せつけた。私はもう彼の言いなりだった。彼は簡単に私を意のままにしてしまう。私は彼の甘い眼差しと声だけで、まるで催眠術にかかってしまったかのように、彼に絡め取られてしまう。そしてそんな状態に最高の幸せを感じるのだ。

「おはよう」

 長い睫が数回上下したあと、私の大好きな青い瞳が私の顔を覗き込み、すぐにそれは優しい色を帯びた。寝起きで掠れた声がセクシーに聞こえるのは、決して贔屓目ではないはず。

「おはよう」

 私はにっこりと微笑んだ。彼の表情もたちまち蕩けそうなほど柔らかくなる。朝からそんな顔するなんて、反則だ。私の頬が熱くなってくる。彼のキレイな長い指が私の頬に伸びた。

「……誘ってるのか?」

「え?」

「そんな顔して……誘ってるようにしか見えないな」

 フッと微笑む彼の瞳は、少しからかいを帯びている。

「ば、バカじゃないの? そんなわけないじゃない」
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