強引社長の甘い罠
彼女の冗談に今度は私と皆川さんが大笑いした。だって及川さんはお酒がまったく飲めないのだ。
よかった。早々に二人に打ち明けることができそうだ。私の大好きなこの二人に、いつまでも隠し事をしているというのはあまりいい気分ではない。私はホッと胸を撫で下ろした。
でも、安心できたのは束の間だった。皆川さんが重大なことを忘れていたとでもいうように、大げさな身振りで両手を打ち合わせるととんでもないことを言い出したからだ。
「そういえば、社長の噂は聞きました?」
「噂ぁ?」
立ち上がった及川さんが飲み干した紙パックをゴミ箱に放りながら皆川さんを振り返る。
「あ、社長って桐原社長のことですよ?」
可愛らしく念を押す皆川さんに、及川さんが呆れた笑みを浮かべた。再び戻ってきてソファに腰を降ろす。
「バカねぇ。そんなことわかってるわよ。噂になるのはイイ男って決まってるものよ。だったら桐原社長しかいないじゃない。それで? その噂ってどんな話?」
「あ……」
思わず声を上げてしまった。二人が示し合わせたように同時に私の方を見る。及川さんが片眉を上げ、皆川さんは可愛らしく首をかしげた。
「七海さんも知ってるの? その噂話とやらを」
「あ……、いえ、えっと……」
よかった。早々に二人に打ち明けることができそうだ。私の大好きなこの二人に、いつまでも隠し事をしているというのはあまりいい気分ではない。私はホッと胸を撫で下ろした。
でも、安心できたのは束の間だった。皆川さんが重大なことを忘れていたとでもいうように、大げさな身振りで両手を打ち合わせるととんでもないことを言い出したからだ。
「そういえば、社長の噂は聞きました?」
「噂ぁ?」
立ち上がった及川さんが飲み干した紙パックをゴミ箱に放りながら皆川さんを振り返る。
「あ、社長って桐原社長のことですよ?」
可愛らしく念を押す皆川さんに、及川さんが呆れた笑みを浮かべた。再び戻ってきてソファに腰を降ろす。
「バカねぇ。そんなことわかってるわよ。噂になるのはイイ男って決まってるものよ。だったら桐原社長しかいないじゃない。それで? その噂ってどんな話?」
「あ……」
思わず声を上げてしまった。二人が示し合わせたように同時に私の方を見る。及川さんが片眉を上げ、皆川さんは可愛らしく首をかしげた。
「七海さんも知ってるの? その噂話とやらを」
「あ……、いえ、えっと……」